新潟・下越地方に広がる神秘の森 -ししのくらの森-

新潟・下越地方に広がる神秘の森  -ししのくらの森-

本日は新潟県胎内 (たいない) 市にある、ししのくらの森についてご紹介します!


今代司酒造のある新潟市から胎内市までは車で約1時間の距離。市内の喧噪とは無縁の豊かな自然に恵まれた美しい街です。
今回は緑美しいししのくらの森の魅力、中でも江戸時代から森を見守ってきたブナの異形樹について、胎内市の観光ガイドを務める梁川(やながわ)さんにお話を伺いました。

今代司:まずは梁川さんの経歴について教えて下さい。

梁川:元々、趣味として渓流釣りや登山を楽しんでいたんですが、縁があって胎内リゾート奥胎内ヒュッテの支配人を請け負うことになりました。そこで自分の趣味を生かし、まずヒュッテ周辺のブナ林等の自然を案内するガイドを始めました。メインとしてはトチノキの巨木の案内でした。
ヒュッテ周辺以外では地元山の会の方が、ししのくらのブナの巨木を発見、同会の方等による一般の方へのガイドもスタートしました。

今代司:梁川さんもそのガイドの一人として、ししのくらの森のガイドもやるようになったのですね。

梁川:はい、渓流釣り等で通い慣れたししのくらの森でしたので、山の会の方や私のような観光ガイドで皆様の案内役としてやらせて頂いております。

今代司:次に『ししのくらの森』という名前、すごく神秘的な雰囲気を醸し出していますが『ししのくら』とはどの様な意味なのでしょうか?

梁川:ししのくらの『しし』はニホンカモシカのことです。『くら』は崖や岩場などのことを言う、昔の山人の言葉です。昔からこの辺りの山にはニホンカモシカが多く生息しており名付けられたのだと思います。
ニホンカモシカは牛の仲間なので肉は美味しく、毛皮は熊などと比べ上質であるため狩人たちには人気の動物だった。乱獲によって数が減少したため、国の特別天然記念物として保護されています。カモシカは警戒心がやや薄いのか、人間が近寄っても逃げないことがあります。数人の人がカメラを構えて2mくらいまで近づいても逃げないことがありました。

今代司:なるほど、警戒心が薄い上に美味しかったら乱獲されてしまいますね。今でもししのくらの森にニホンカモシカは生息しているのですか?

梁川:はい、巨木の脇の杉林で見たことがありますし、ここまでのアスファルトの道路(県道53号線)まで出て来て道路脇の草を食べたりしていることもあります。胎内スキー場の近くには『ししのだて』という地名があり、ちょうど高台からニホンカモシカが下界を見下ろしている様子を見て、昔の人は土地の名前として名付けたのだろうなと想像が膨らみます。

今代司:雪の残る高台から下界を見下ろすニホンカモシカ、かっこいいですね!

今代司:次にブナの原生林と胎内の人々との関わりについて教えて下さい。

梁川:はい、この地域では江戸時代の頃よりブナの木を切り出して薪や炭の材料として利用していました。ブナの木はとても固く、燃焼時間が長い上に温度も高い、非常に良い薪や炭が出来るのだそうです。

今代司:ほう・・・(まるで鬼●の刃の竈門●次郎の世界ですね)

梁川:ブナが凄いのは、薪材を作るために切り株の様な状態にしてしまっても、樹齢50年くらいまでは切った部分からまた芽吹いていくつもの枝が伸びてくるところです。ブナは成長速度が遅い反面、凄まじい生命力を持った木なんです。
昔の人はそのブナの性質をよく知っていて、わざと幹を切り落として次の枝が生えてくるのを待っていたようです。ししのくらの森の異形樹もそのようにして生まれたと考えられます。

今代司:あの迫力を感じる巨木は人の手なしには生み出されない。昔から人間の暮らしと寄り添って来た森だからこその産物なのですね。

梁川:そうなんです。ゴツゴツとした形状からはまさに生命力の強さを感じます。この森にある一番大きなブナの異形樹は樹齢300年と推測されていて、幹の太さは最も太い部分で9m 8cmもあるんです。公式な記録では、日本一大きなブナの異形樹は秋田県 鳥海国定公園内の『あがりこ大王』となっているんですが、私はししのくらの森のブナの異形樹が形も含めて日本一ではないかと思っています!!
また、中越の十日町では細くスラっと伸びたブナの美人林が有名ですよね。一方、胎内市では苔が生してゴツゴツとした異形樹のブナが魅力。見る角度によっては何か別の生き物に見える、なんて言う人もいます。そういう好きな角度を探すのも楽しいですね。

今代司:梁川さんの『ししのくらの森』に対する愛情を感じますね!

この角度から見ると動物のサイの横顔に見えるんです、と嬉しそうに説明してくれた梁川さん。

ししのくらの森の異形樹は車道からゆっくり歩いて10分弱程度、山道を登れば見に行ける手軽さが魅力です。近くを流れる胎内川ではSUP体験、お城の様に豪華なロイヤル胎内パークホテルは一般の宿泊はもちろん、施設内の芝生エリアで温泉付きキャンプも可能ですので、ししのくらの森の散策と合わせて楽しんでみては如何でしょうか。
ボランティアの方による観光ガイドは胎内市のホームページから予約可能で、胎内の自然以外にも、街のガイドや歴史ガイドなど様々な胎内の魅力を案内してくれます。ぜひ胎内市のホームページを是非チェックしてみて下さい。

 

 

新発売『純米酒 今代司 ししのくらの森酵母仕込み』

胎内市にキャンパスを構える、新潟食料農業大学の研究チームがししのくらの森で酵母を採取し、分離し清酒用に育種改良。新しく「ししのくらの森酵母」を開発して醸造した、今代司酒造だけで味わえる特別な日本酒です。神秘の森を感じさせる爽やかな味わいとキレのある後味をお楽しみ下さい。

 米・水・酵母 新潟たいない産
純米酒 ししのくらの森酵母仕込み


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